修理、修復について
掛軸の修理、修復、メンテナンスを受け付けています。
使用の過程で「掛け紐が切れた」、「落として折れた」場合の修理や、
大きい修理事例では「子供が引っ張って破れた」、「水が掛かってシミができた」、
「引っ越しをしたので長さを変えたい」など。
可能な限り美しく見えるように修理を行いますので、ご相談ください。
半切〜尺五サイズの修理事例、料金の目安をご案内します。
● 紐の交換
長い年数にわたって掛軸を使用していると掛け紐が切れてしまう事があります。
掛け紐と一緒に巻緒(巻紐)も同じ紐へ交換します。
場合によっては鐶 (かん)という紐を結ぶ金具を打ち直します。
この金具は打ち直した方が良い場合と、そうではない場合がありますので、
状況に応じて的確に判断します。
2,500円(税別)〜 です。(普通紐)
鐶の修理は+1,500円です。
正絹紐など素材の良い物は別途お見積り致します。
● 掛軸本体の折れ、シワの修理
よくご依頼を頂く修理事例なのですが、掛ける際や収納の際に落下させてしまい、
ぽっきりと紙や裂が折れてしまった、という状態です。
巻いた際に折れている箇所に違和感が出ますので、
裏側から折れた箇所に和紙をあて、専用プレス機で修理します。
一箇所、4,000円(税別)〜 です。
● 巻癖の修理、メンテナンス
本来、巻いて収納しているものですので、ある程度の巻癖(丸まろうとする癖)は
仕方のないことなのですが、見栄えを良くするために、
収納している期間が長過ぎた等の場合には、真っ直ぐに掛かるよう見栄えを良くします。
専用のプレス機で修理します。
3,500円(税別)程です。
● 破れの修理(小 10cm程度)
物が当たって破れた、子供が引っ張って破れた、というような状態です。
裏から紙を当てて補修します。
一箇所、4,000円(税別)〜 です。
● 破れの修理(大 10cm以上)
破れが大きかったり、本紙の損傷が激しい場合には分解して修理、
または表装のやり直し(再表装)となります。
25,000円(税別)〜 です。
別途、表装料金となります。
● 長さの調整
長すぎて掛からないという場合が多いのですが、
天井近くのかけるフックなどから床までの長さより掛軸が長い状況です。
お寺から頂いたり、天井が高い場所に掛ける予定で表装されたものは自宅では
掛からない場合があります。
天の裂地と中廻しの裂地をカットして継ぎ直します。(裏に補強の和紙を貼ります。)
6,000円(税別)程です。
● 天地の交換
長い保存期間により、天と地の裂地のみに劣化が激しい状態です。
中廻しと本紙にダメージが及んでいないのは、掛軸が本紙を守るという、
本来の役割をしっかりと果たしています。
天と地の裂地を新しいものに交換します。軸棒と軸頭は再利用します。
10,000円(税別)〜 です。
● シミの除去
雨や湿気によって茶色のシミが出現している状態です。
この場合は分解して修理、または再表装となる場合が殆どです。
経年劣化で発生した1㎜以下の細かいシミや、2㎜〜10㎜程の薄い茶色のシミは
洗いによって除去できます。
また、紙や絹の劣化による変色も修理可能です。
25,000円(税別)程です。
別途、穴空き、破れなど修理、表装料金となります。
● カビの除去
黒っぽいカビは本紙を浸食している事が多く除去は困難です。
分解して修理の際に、支障のない場所であれば小さく必要場所のみをカットして除去、
替わりの紙を当てて修理します。更なるカビの発生を防止します。
25,000円(税別)〜 です。
別途、表装料金となります。
● 手がつけられないくらい劣化している
紙や絹は時間とともに酸化してパサパサな状態へ変化していきます。
少し触っただけで破れてしまう場合など、なるべく状態を維持したまま五番館へ持ち込んで下さい。
時間は掛かりますが、鑑賞出来るように修復します。
状態を拝見してお見積りします。
※ 例えば一つの修理の工程の途中で、今このタイミングであれば明らかにダメージを
受けている箇所の修理も出来、最終的に見栄えが良くなることが期待出来る場合には、
五番館の判断でご依頼を頂いていない修理を行う場合があります。
その場合の、修理の料金は事前にお見積りの金額を上限としています。
例:半切サイズ
シミの除去(分解して水洗い、または薬品を使用しての洗い) 25,000円
破れ補修、二箇所程 6,000円 五番館の判断で修理します
正絹本緞子使用、丸表装または三段表装 50,000円
合計 75,000円(税別)
※ 修理の金額は目安です。劣化の状況により金額が当てはまらない場合もあります。
全体写真と修理箇所を添付いただき、お見積りをご依頼ください。
再表装について
いろいろな修理の方法がありますが、表装を最初からやり直す再表装には
問題のほとんどを解決して、さらに作品の保存に対しては現状で出来る
精いっぱいの状態にする効果があります。
再表装とは古くなり掛ける事ができなくなってきたものや、
作品にシミ、汚れが付いてしまったものを、一度分解し清掃をした上で
再度、表装をやり直す作業のことを言います。
例えば、シミのほとんどはカビの一種ですので、
放置し過ぎるとそこから劣化が進み、最終的には穴が開いてしまいます。
掛けたり収納する際に気が付いた場合には、なるべく早めの修理をお勧めします。
費用は本紙の状態によりますので、破損箇所が少ない段階での修理をお勧めします。
ここで五番館で行う掛軸、額装などの修理、修復の工程をご案内します。
作品に一つとして同じ状態、状況のものはありませんので、
ご紹介している作業内容がそのまま当てはまることは稀ですが、
作業の順番や一つの作業に掛ける時間など、職人の長年の経験と感性で
最も適した作業を行います。
1. 作品の記録
作品の現状を写真に収めたり、メモを取ったり、詳しく記録します。
2. 切り抜き
大切な本紙の部分のみを旧掛軸より切り出します。
3. クリーニング
極めて柔らかい刷毛でダメージを与えないよう十分注意して、砂や塵などの
乾いた状態で落とせる汚れを除去します。
4. 水洗い
膠などの悪影響を与えない事が判っている材料での滲み止めを施し、
専用のケース内で、水に浸して洗浄します。
雨や湿気などで紙に茶色の点々としたシミが出現している場合など、
シミ抜き洗いで茶色のシミのみを除去出来ます。場合によっては薬品を使用し洗浄します。
脱酸性化処理を行い、本紙の酸性化を遅らせます。
※水洗いが可能な作品は限られています。条件が整っている場合のみ行います。
5. 剥がし
本紙から旧裏打ち紙を取り除きます。
6. 裏打ち
補強のため新規に裏打ちを施します。破れや穴が開いている箇所は
このタイミングで修理します。
7. フラットニング、化粧断ち
プレス機使用、または貼り込んでフラットな状態にします。
歪みが無い状態で化粧断ちをして表具の工程へ移ります。
表装、額装、修復の五番館
工房、事務所の所在地
〒500-8384 岐阜県岐阜市薮田南5-16-28
TEL 058-272-0005(9:00 〜 18:00 土日祝除く)
事前のご連絡で土曜日の受付もしております。
E-mail 5@gobankan.com(@は半角に変換して下さい)